2019年2月
趣向を凝らした盛り付けと美しい器でお料理がいただける、老舗料亭旅館
前田家別邸跡地に明治23年創業した老舗料亭旅館です。
外観
宿泊用のお部屋は全6室と少ないのですが、館内には披露宴などにも利用できる100畳の大広間もあり、大きくて立派な旅館でした。
施設
玄関がとても広々としていました。正面には豪華な金屏風が飾られ格式の高い旅館といった雰囲気が感じられました。
お部屋までの廊下には季節を感じさせる調度品が置かれていたのですが、どれもが素晴らしかったです。
また、手入れの行き届いた日本庭園も見ることができました 。
客室
宿泊したのは46平米ほどの広さの「花の間」というお部屋で、今回のプランにはお宿の隣にある陶芸の美術館、大樋美術館の入場券が付いていました。
お部屋の入り口の襖を開けると、水屋を兼ねた2畳ほどの次の間があり、その奥に10畳の和室が広がっていました。
お部屋はシンプルですが、床の間が大きく、高級感がありました。
お布団は夕食をいただいている間にお宿の方が敷いておいてくれました。
寝具にはスイスのヒュースラー・ネスト社の高級寝具、カウフマン社の羽毛布団、システムピローなどこだわりの製品が使用されており、寝心地は良かったです。
また、夕食前には1畳ほどの大きさの座卓が置いてあったのが、夕食後には半畳ほどの大きさのものに代えられていました。
浴室
浴室に窓はありませんでしたが、湯船も洗い場も大きく、充分な広さがありました。
浴槽は檜風呂で、浴室にはほんのりとさわやかな香りが立ち込めていました。
こちらのお風呂は、お湯の温度のほかに、浴槽に入れるお湯の量も指定できました。
お湯があふれる心配をしなくていいので、とても便利でした
眺望
窓からはお宿のお庭が見えますが、街中に建つ旅館なので隣の住宅も視界に入ってきました。
お着きお菓子
お菓子は竹と花の干菓子に鶯の上生菓子と、ちょっとした絵画のようでした。
緑と白で色も統一されていて、センスの良さを感じました。
備品
飲み物は急須でいれる緑茶とほうじ茶のほかに、冷蔵庫には、金沢の地ビールや地酒、能登の塩サイダーや金沢の酒蔵の水など、地元のドリンクが入っており、すべて無料でいただけました。
部屋着として浴衣と羽織、足袋がおかれていました。
テレビも棚の中に収納されており、扉を閉めるとよりすっきりとした感じになりました。
アメニティ
歯ブラシや櫛、剃刀など基本的なアメニティは揃っており、ひとつひとつ旅館の名前が入った上品な色合いの和紙に包まれていました。
シャンプーとコンディショナーは「BVLGARI」のもの、化粧水とクレンジングは地元金沢の老舗「福光屋」の高保湿自然派化粧品「ルバンシュ」のもの、石鹸は加賀野菜のパウダーを配合した「まかないこすめ」のものが置いてありました。
ボディタオルは和紙を編み込んだ「まかないこすめ」の和紙タオルでした。
夕食
夕食の時間になると仲居さんがお部屋まで迎えに来てくれました。
案内されたのは、1階にある朱色の壁が印象的なお部屋でした。
ひざ掛けにと用意された手ぬぐいは、斜めに折ると袴に見えるようにデザインされていて、面白かったです。
お料理は会席料理でした。
お品書きにフルネームで名前が書いてあったのは好印象でした。
八寸は2月らしく、節分をテーマにしたもので、桝に見立てた器の中に、鬼の描かれた小皿が入っていました。お多福のお面や柊木の枝も添えられて、縁起もよく、季節を感じさせてくれる一品でした。
凌ぎののどぐろの蒸し寿しはとっても脂がのっていましたし、焼き物のきんきの塩焼きは身はふっくらとやわらかいのに皮がパリパリと香ばしく、絶妙な焼き加減でした。
水菓子としてふきのとうが練りこまれたプリンも提供されました。抑えた甘さの中にほんのりと苦みが感じられ、さっぱりとしておいしかったです。
ほかにも鮑、河豚、真牡蠣、ずわい蟹など高級食材が多用され、とても贅沢な内容でした。
さらに使われていた器も素晴らしいものでした。
また、食事の途中に若女将が挨拶に来てくれ、金沢らしい漆の小さな入れ物のお土産をくれたのも印象に残りました。
朝食
朝食は1階の個室でいただいたのですが、昨晩夕食をいただいたお部屋とはまた別のお部屋でした。
用意されたおしぼりを手に取ると、さわやかなアロマオイルの香りが鼻に抜けていきました。
テーブルには、沢山のお料理が並び、朝食とは思えない豪華な内容でした。
ぶり大根のぶりはとてもやわらかく煮込まれていたし、大根にはしっかりと味がしみていました。
お豆腐のお鍋は豆乳のクリーミーな舌触りとやさしい味わいが朝にぴったりの一品でした。
ずわい蟹の甲羅を使った茶わん蒸しは蟹味噌が入っており、しっかりと蟹の旨味が感じられました。
総論
金沢を代表する料亭旅館だけあって、サービス、お料理ともに素晴らしかったです。
宿泊当日、午前中に一度荷物を預けに行くと、こちらから名乗る前に女性スタッフが名前を呼んで対応してくれました。
また、夕方チェックインのためお宿に戻ると、下足番の方が玄関の引き戸を開け、名前を呼んで出迎えてくれました。今日、だれが泊まるのか、きちんと情報が共有されているようで、好印象でした。
歴史を感じされる建物はとても立派でしたし、お部屋に置いてある備品やアメニティ、寝具は上質なものが揃えられており、こだわりを感じました。
料亭旅館だけあって、お料理の味と食材の質はもちろん、調理の仕方、盛り付け方、使われている器に至るまで、どれも素晴らしかったです。
お値段はお高めですが、お支払いした分以上の満足感は得られました。
※この投稿は以前、別のサイトでアップしたものを再投稿したものになります。
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